湯飲みの最下部にある支えの部分を「糸底」と言う。とある日聞いた私は「陶器のロクロを使用した作業の最後にロクロと粘土を糸で切り離すから糸底というのだろうなぁ。」とそのとき思いました。
しかし、そのロジックで考えるとその名称は陶器以外の素材では使えないのではないか?という自然な疑問が生まれてきたのです。このレポートは、何故「糸底」と言うのか。陶器以外でも「糸底」という名称なのか。と言う2つの疑問を調査すると共に、それに伴って派生する疑問を解決するために書かれるものであります。
結果・報告
結果から言うと、「糸底」「高台」のどちらを使用しても問題は無く、一般的な使用における上での差は無いようです。文献の挿絵では主として、素材の差別なく「高台」という名称がつけられております。また、「糸底」という名称も広く一般に知られているようです。そのことは「高台」を辞書で引けば「糸底」を参照するようにされており、また「糸底」を引けば「高台」を参照するようにされていることからも推測できます。
参考文献2で見られるような考え方は、その単語の漢字の持つ意味から考えると信憑性があるように思えます。
つまり、本来は糸でロクロと切り離しただけの陶器の底を「糸底」と呼び、そこをカンナで掘るか、脚をつけた部分を「高台」と呼んでいたが、どちらも器の下の部分という観点で見るとその二つの言葉の持つ意味の違いは、日常ではさほど重要では無いために、時代の変化と共にそれら二つの言葉の概念が互いに近づいてあいまいになり、どちらでもよくなったと考えられるという事です。
ただ、それが仮に正解であるとしても、会話とは各々の共通認識(言葉の意味を相互に理解しているという前提)の下で行われるため、自分だけが「まわりが間違っていると」言ってみたところで誰も相手にしてくれないので、やはり「糸底」「高台」のどちらを使用しても良いのだと思います。どうやら、木製であっても、土製であっても、そう呼ばれるということは、製作段階で生まれた言葉の概念(意味)が時間の経過と共に「形状」の持つ概念(意味)に転換したようです。
参考文献1 「しらべま専科」(レファレンス事例データベース)準備版
参考文献2 相玄窯の店『木洩れ日』
参考文献2で見られるような考え方は、その単語の漢字の持つ意味から考えると信憑性があるように思えます。
つまり、本来は糸でロクロと切り離しただけの陶器の底を「糸底」と呼び、そこをカンナで掘るか、脚をつけた部分を「高台」と呼んでいたが、どちらも器の下の部分という観点で見るとその二つの言葉の持つ意味の違いは、日常ではさほど重要では無いために、時代の変化と共にそれら二つの言葉の概念が互いに近づいてあいまいになり、どちらでもよくなったと考えられるという事です。
ただ、それが仮に正解であるとしても、会話とは各々の共通認識(言葉の意味を相互に理解しているという前提)の下で行われるため、自分だけが「まわりが間違っていると」言ってみたところで誰も相手にしてくれないので、やはり「糸底」「高台」のどちらを使用しても良いのだと思います。どうやら、木製であっても、土製であっても、そう呼ばれるということは、製作段階で生まれた言葉の概念(意味)が時間の経過と共に「形状」の持つ概念(意味)に転換したようです。
参考文献1 「しらべま専科」(レファレンス事例データベース)準備版
Q 茶碗の底の部分につけられた足の名称は何ですか。 「糸底」と言ったような気がしますが…
(平成14年度後期)
A 『全図解モノの呼び名がわかる事典』(日本実業出版社 1999) の「茶碗」の項目では底の部分の名称は「高台(こうだい)」 となっており、「糸底」という名称は記載されていません。 そこで、『日本大百科全書』(小学館)、『世界大百科事典』 (平凡社)の索引巻を「茶碗」で引くと、それぞれの「茶碗」 の項目に図が掲載されていることがわかりました。 『日本大百科全書』の「茶碗」の項目に各部の名称が出ており、 やはり「高台」となっています。『世界大百科事典』の「茶碗」 の項目にある図でも同様に「高台」とあります。
「糸底」について百科事典に記述が見つからないので、 『日本国語大辞典』第1巻(小学館 2000)の「いとぞこ【糸底】」 の項を調べると、「陶磁器の底の部分。 成形のときに糸でろくろから切り取った底部。また、 一般の焼物の底座をもいう」とあります。
次に茶道関係の図書を調べると、『お茶人のための茶碗百科大図鑑』 (世界文化社 1997)の巻末「茶碗の名称と各部の鑑賞ポイント」 には「高台」として、様々な種類の高台が図解されており、 「糸底」の記述は見当たりませんでした。しかし、『茶の湯用語集』 (主婦の友社 1986)で「糸底」を引くと「高台」 を参照するようになっており、「高台」の項に 「一般的に、糸底ともいわれる。」と書かれていました。 また、『角川茶道大辞典』(角川書店 1990)の「糸底」の項目には 「糸尻ともいう。本来は轆轤(ろくろ)成形した器をさすが、 現在では糸切を施していない底や高台全般をも通称する。」 とありました。以上の調査から、「糸底」「高台」 のどちらも使われているようですと回答しました。
参考文献2 相玄窯の店『木洩れ日』
高台(勾台)(こうだい)
湯飲み飯碗など小物を作るときに、 ロクロに5〜6Kグラムほどの、粘土の塊を置き これから一個ずつ水挽きして、出来たものをロクロを回転させたまま「切り糸」(「しっぴき」ともいう)で切り離します。
切り離すと器の底に切り糸の痕が“渦巻き状”に残ります。 この渦巻き状の底面をそのまま残した物が“糸底”です。糸底の状態からカンナで、輪状に台を切り出したものがつまり高台です。
高台を糸底とよぶ人がいますが、これは間違いです。糸底粘土の紐で小さなドーナッツの様な形を作り“糸底”の状態に接着したものを“付け高台”といいます。古瀬戸の「灰釉平碗」に 見られます。
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